本部港から伊江港までは約30分。風が吹くと割と揺れるらしいけれど、この日は穏やか。修学旅行生たちでにぎやかな船内。
ちなみに伊江島が賑わうのは、春の伊江島一周マラソンとゆり祭りの頃。加えてお盆とか年末年始はフェリーが増便されるそうだ。その他の時期は基本、のんびりした島だとか。
フェリーが伊江港に到着すると、ご当地キャラのタッちゅんがお出迎え。
島のシンボルの城山の帽子をかぶり、じーまみー(落花生)のパンツをはき、背中には名産の島らっきょうを背負っている。
フェリー乗り場のすぐ前にあるレンタルショップで自転車を借りる。
選択肢としては電気自動車、バイクもあったけれど、短時間の滞在なので自転車でいいかな、と。しかしこれは大きな間違いだと後々気づくことになる…。
借りた自転車は変速機付きのママチャリ。変速機あれば大丈夫かなと思った。
なぜなら事前に調べた情報だと「島内は平坦な道が多くて、自転車の散策が楽しい」なんて情報があったから。
しかし自転車にまたがり走り出して1分もしないうち、軽トラに乗った爺ちゃんに声をかけられる。
「兄ちゃん、自転車しんどいよー! やめときなー」
え!?
「坂道ばっかりだからよー」
は!? 話が違う、だまされたか? それでも…、
「2時間くらいしか走り回らないから大丈夫です!」
気丈に答え、いきなり登場した坂道を登る。
「そう。ならいいけど」と爺ちゃんは走り去る。
そこで気づいた。伊江島は基本平坦な島だけど、真ん中の城山にむかってなだらかに盛り上がっている。
だから海沿いを一周するぶんには、自転車で快適だけれど、城山に向かう、要は島の真ん中に向かって進むと、ずーっと坂道が続く。
「普段クロスバイクで10kmくらい平気で走るから大丈夫!」とたかをくくっていたけれど、借りたのはママチャリ。変速機なんてあってないようなもの。
キツかった…。
次はバイクを借りよう。
それでもなんとか、南登山口と書かれた看板にまでたどり着く。
ここでいいのかなとスマホで地図確認。車で行ける駐車場まではまだくねくねと坂を登らないといけない。
見上げるとそれらしきものが確認できるけど、そこまで自転車で登るのか? 無理! 南登山口からは階段になるけど、その方が楽に思える。
かなり急な階段を登り、土産物屋がある駐車場にまでたどり着く。すでに汗だく。ペットボトルの水がなくなる。そして見上げる。そびえ立つ城山。これ登るの?と自問自答。
「ここまで来たら十分、島内散策する時間もなくなるし、引き返してもいいんじゃない?」 という葛藤。
「いや、ここまで来て登らずにどうする?」と自らを奮い立たせる。
沖縄在住の友だちとの昨日の会話を思い出す。
「伊江島行って何するの?」「城山に登る!」「それしかないよねー、笑」。
登るしかない。
伊江島の城山。愛称タッチュー。標高172m。駐車場の脇にある城山御嶽にご挨拶し、登山の安全を祈願し(いやそんな大仰なものではないけど)、いざ登り始める。
伊江島、城山(タッチュー)制覇!(3)に続きます。