伊江島の象徴、城山(タッチュー)は標高172m。登山口から山頂までは約20分。
ここまでは調べていた。お気軽短時間の登山だ。
でも、南登山口から中腹の駐車場と土産物屋がある展望台まで247段。中腹から頂上までは291段。合計538段。
これは調べてなかった…。
登山口から延々と続く階段を登る。幅は狭くて、下ってくる人とすれ違うのが精一杯。場所によっては通り過ぎるのを待たなくてはいけないくらい。
フェリーで一緒だった高校生たちも同じ時間に登山。彼ら彼女らが息を切らして登るくらいだから、相当にきついことがわかる。
途中で休みやすみしながら登る。旅行会社の添乗員のお姉さんはパンプスで登る。すごいなあ、なんて感心しながら…。
途中には岩を抱いた木や地層が露頭している見どころが随所にあった。
でも登りきることだけが頭にあって、写真を撮るのが精いっぱい。もっと余裕を持って調べながら行けばよかったと後悔。
15分くらい登ったところで階段を覆っていた木々がなくなり草だけになって視界が開ける。
まもなく頂上、の雰囲気がありながらそこから階段はまだ続く。
数分後、ようやく登りきった!頂上に立つと周りには何もなく、360°のパノラマ絶景!
と、感動するはずが、そこには高校生の集団が(笑) 北の空は暗く、風が強い。ああ涼しい。それだけ…。
もっと天気が良ければ、感動の光景だったはずなのに。少し残念。
でも達成感は半端ない。
登山家にとっては登山とも言えない山なのかもしれないけれど、普段山登りなんかしない人にとっては十分にその感覚が味わえる城山だった。
後日談。
538段の階段ってどれくらいの建物だろう、と調べてみたら、偶然にも同じく538段の階段を登る神社があった。
それはなんと、和歌山県新宮市にある神倉神社。
熊野三山に祀られている熊野権現が最初に降臨した地と伝えられ、御神体のゴトビキ岩を背に構える神社だ。
8年前に故郷をもっとよく知るための旅に出た。新宮まで南下した時、震災後の疲れが出たのか、すごく体調が悪くなったことがあった。
本当なら熊野三山を制覇するつもりだったけれど、とても回れないくらい身体もメンタルも弱っていて、どうしようかとホテルの自転車(これもママチャリだった!)を借りて少し散策。
そこで神倉神社の看板を見つけ、導かれるように進んで階段を登る。
すごく疲れていたけれど、それでも登った。
神社までたどり着き、ゴトビキ岩に触れる。
じゅーっと、まるで岩に吸い込まれるような気がした。浄化された感じ。
その時の感覚はまだはっきりと手のひらに残っている。
不思議とその後に体調も戻った。大きな岩には不思議な力があるね。
伊江島、城山(タッチュー)制覇!(4)に続きます。