「島にて」仮設の映画館で


映画「島にて」を観た。山形県の離島、飛島で暮らす人々を追ったドキュメンタリー。

山形県の離島、140人が住む飛島。2年くらい前にブラタモリで紹介されたのを思い出す。強風や高波で酒田の港に入れない時に北前船が寄港し、海が穏やかになるまで待つことができたとか。そのため酒田は海路の要所として栄えたのだという。

でもこのドキュメンタリーでは、そういった地理的要因は取り上げられず、人だけに焦点が当てられている。ノーナレで、庄内弁の語りが多くて、理解できない部分も多かったけれど、その分、島の現状がありのままに描かれていた。若い人の喋りは普通に分かるけれど、それだけ高齢の人たちとのギャップを感じる。

島に来る人、出る人、守る人、何かを求める人、島の将来を案じる人。不安もあり希望もある。それぞれの立場で話し、語り、訴え、日々を過ごしている。ただそれを描写しただけのドキュメンタリー。そこから何を読み取り、何を感じるかは観た人に委ねられている。

自分が感じたことをひとつだけ書いておくと、10年後、この島は大きな岐路に立たされるだろうな、ということ。高齢化とか、医者がいないとか、働く場所がないとか、さまざまな問題に手を差し伸べるために若い人が移り住んでいる。

その人たちが、今の高齢者たちがいなくなった時、島に新たな価値を見いだせるだろうか、ということ。とても美しい小さな島だけれど、限られた観光資源で、どうやって生活を維持していくのか。少し心配になった。これは飛島だけではなく、過疎が進むどこの地域も似たようなもので、今の社会の課題なのかもしれないけれど。

でも、島めぐりは好きなので、一度行ってみたい。船で渡って、足を踏み入れた時、なんだかわくわくするよね。新しい冒険が始まるみたいで。

ちなみに今、映画館は閉鎖中なので、この映画は「仮設の映画館」というインターネット上の配信スペースから観た。小規模な映画館は危機的な状況。そこで上映予定だった映画を配信に乗せて鑑賞してもらい、鑑賞料金を映画館に分配する仕組み。

大きなシネコンはさておき、好きな映画をかけてくれる映画館は守らないとね。自分の好きな場所を守っていかないと、いくら事態が収束してもすごく味気ない生活になってしまう。微々たる力だけど支援。