対面の取材やインタビューで必須のアイテムはICレコーダー。後で聞き直して原稿を書いていきます。かつては録音せずにメモを取って原稿を書く猛者もいましたが、今ではほとんどいませんね。では、オンラインでの取材やインタビュー、あるいは会議を録音するにはどうすればよいのでしょうか。取材やインタビューはその場限り。しっかりと準備しておきましょう。
・オンライン会議ツールの録音方法を活用する
SkypeやZoom、Google Meetといったオンライン会議ツールには、会議を録画したり、音声を録音したりできる機能が備わっています。それぞれのツールの録画、録音方法を事前に確認しておきましょう。
注意すべき点は2つ。権限と保存先です。
ツール、あるいは有料・無料といった立場によって、オンライン会議の録画・録音がホスト(主催者)に限られていることがあります。ホストによる許可が必要な場合もありますので、必要であれば録画・録音を依頼するか、許可を得て自身でできるように手配しておきましょう。
意外な落とし穴は、動画・音声ファイルの保存先です。ツールによってはクラウドに保存されたり、アプリケーションのファイルに保存されたりと、思わぬ場所に入れられていることがあります。
会議が終了してログアウトしたら音声ファイルをダウンロードできないこともあります。音声ファイルのありかがわからないと焦る前に、テストをして保存場所を認識しておくことが大事です。
オンライン会議を録画・録音する時には、対面取材の録音と同じように、必ず相手の了承を得るようにしましょう。オンライン会議ツールに慣れている人であれば、録画あるいは録音されていることが画面に表示されるので明らかなのですが、オンラインとはいえ、取材のエチケットとしてひと声かけることを忘れないでいたいものです。
・声が聞こえない時には遠慮せず聞き直す
対面取材で取材中によく聞き取れなかった言葉について、ICレコーダーで録音しているから後で聞き直せばいいかな、と流すことがあります。あまりよくない方法ですが、取材相手に気持ちよく喋り続けてもらうのが狙いで、いちいち止めて確認してしまうと、話の腰を折ってしまったり、流れが悪くなったりしてしまうからです。
もちろん大事な言葉であれば手元にメモしてチェックしておき、話の切りのいい所で振り返って確認することはありますが、次の話で同じ言葉が出てきたり、後で聞き直した時に理解できたり、なんとかなるものです。
しかしオンライン会議では、なんともならない場合があります。Part 06でも説明したように、音が打ち消し合っていくら聞いても何を言ってるかわからない時があるのです。また、パソコンのスペックにもよると思いますが、オンライン会議ツールの機能を使って録音した音声の状態は必ずしも良くなくて、普通の会話も聞き取れない時があります。
そのため、対面取材よりも気をつけて、相手の声が聞こえない、意味することがわからない時は、なるべく遠慮せずに聞き返すことが必要だと感じています。取材の帰り際、世間話のついでに聞き出すこともできないですから。
・電話インタビュー録音の経験が役に立つ!
オンライン会議ツールの録音機能で録った音声は好きではなく、音声の文字起こしをする時、クリアでない音質の会話を聞き続けるのは辛いです。パソコンのスペックや音声の再生方法に問題があるのかもしれないのですが、個人的には聞き取りづらいと感じられます。
そこで試してみたのが、電話インタビューをしていた頃、会話を録音するために使ったテレホンピックアップです。今のライターさんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、OLYMPUSやSONYをはじめ、さまざまなメーカーが販売しています。
イヤホンの外側がマイクになっているもので、電話ならば受話器からの音を拾って録音するものです。ICレコーダーにマイクとして接続すれば、かなり明瞭に会話を録音することができます。
電話インタビューをする機会がほとんどなくなったので、もう使わないと思っていたのですが、意外とオンライン取材では使えました。その場合はイヤホンではなくてヘッドホンを使って、その音声をテレホンピックアップで拾うのですが、後で聞いた時のストレスは皆無でした。
耳の穴にテレホンピックアップを入れ、上にヘッドホンかぶせるため、気軽なオンライン会議では少し大仰になってしまいますが、取材やインタビューであればヘッドホン+テレホンピックアップが最強の組み合わせではないかと感じています。
もちろん、マイク付きイヤホンの方が楽ですし、ツールの録音機能ももっと高音質になれば理想的です。日々更新される技術やテクニックをしっかりフォローしていきたいですね。
ZoomやGoogle Meetのリアルタイム文字起こしサービスのニュースをよく耳にします。果たして原稿を作成する時の文字起こしに活用できるのか、検証していきたいところです。100%の正確性がなくても、ライターの仕事が軽減されることは事実で、自分が行った取材であれば、正誤の判定はすぐにできます。
オンライン会議ツールも日々進化し、より気軽にさまざまな機能が使えるようになってきています。技術と知識をアップデートして、時代の流れに乗り遅れないようにしたいですね。前回の記事で「新しい取材様式」と書いた通り、作業効率を上げ、より充実した成果物を生み出すために、努力を怠らないようにしたいものです。
【INDEX】
Part 01(準備編)パソコンのカメラはどこにある?
Part 02(準備編)パソコンのマイクはどこにある?
Part 03(準備編)オンライン会議のツールを試してみる。
Part 04(準備編)実は大切なカメラの位置と画角。
Part 05(実践編)オンライン会議の進め方。
Part 06(実践編)オンライン取材・インタビューの進め方。
Part 07(実践編)オンライン取材・インタビューの録音方法。
Part 08(実践編)オンライン取材・インタビューのテクニック。
Part 09(まとめ)これからはオンライン取材・会議が主流に?
Part 10(おまけ)オンライン飲み会