初めてのオンライン取材・会議 Part 08(実践編)オンライン取材・インタビューのテクニック。



オンラインであれ、対面であれ、取材やインタビューの基本的なテクニックは同じです。オンライン特有の状況を理解して、ITリテラシーを少し高めておけば、問題なくこなせると思います。しかしいくら自分が慣れてきていても、取材相手にオンラインの経験がなければ、最初はかなり難しくなります。なるべく相手にストレスを感じさせないように、対面よりも気を遣って進める必要があります。



・資料の共有はできる。でも相手に頼らないで!


オンラインのコミュニケーションツールや会議ツールを使えば、簡単に資料を共有することができます。社内の会議ならそれで問題はなく、見ていない方が悪いで済むのですが、取材やインタビューではそうはいきません。

取材の主題やインタビューで聞きたい質問をまとめて事前に展開していても、「ごめんまだ見てない」と言われることはしばしば…。でもそこで相手を責めることはできません。それでも定められた時間内に取材は終えなければならないのです。

対面であれば、印刷してきた取材概要や想定質問を手渡しすることができ、その場で目を通してもらえます。オンラインでも、ツールの画面共有機能などを利用して資料を共有することができます。でも、相手は画面を見ただけで理解してくれるでしょうか。

オンラインの先の相手を尊重しよう。


画面だけで仕事ができる人ばかりならば、世の中のペーパーレス化はもっと進んでいるはずです。でも、印刷物を見ないと頭に入ってこない人がまだ多いのが実情です。ならば、どうすればいいのか。

そう考えた時に思い付いたのが、取材概要の簡易版です。相手のパソコンの一画面で、スクロールしなくても全部が見えるくらいの粗々の概要を作っておくのです。「これに沿ってお話を伺っていきます」とだけ伝えて、質問はぶっつけ本番です。それでも、取材される相手はそれなりに経験があるはずですので、十分に流れに沿って答えてもらえるでしょう。ここは相手を信頼して話を進めましょう。



・画面に映る相手の表情は見逃さない!


自身が準備した想定質問は、オンライン会議ツールとは別のブラウザを立ち上げて確認しながら取材を進めるか、適宜書き込みをしたければ印刷しておく必要があります。

個人的にはペーパーレス化を進めたいのですが、取材中にメモを取るという行為がどうしても欠かせず、紙から離れられないのが悩みです。別のタブレットに表示させてタッチペンで書き込んで進めたいのですが、なかなか慣れません。

そのため、メモに気を取られると、つい手元ばかりを見てしまいがちです。すると、ただでさえ受け取る情報量が少ないオンラインにおいて、相手の声しか聞こえていない時間帯が増えてしまいます。これだと電話と同じになってしまいます。

オンライン取材やインタビューを進める時には、自分の視線に注意を払う必要があります。

相手が調子よく喋っているのか、言いたくなさげに言葉を選んでいるのか、これは絶対に伝えたいと力を込めて話しているのかなど、表情や口調から探っていくことが、取材やインタビューの肝になります。

オンラインであるということを意識させない。


対面ではあまり相手の目を見つめてばかりいると圧を与えてしまい、緊張を呼んでしまうこともあるので、わざと視線を外すこともありますが、オンラインではかなりの時間、相手の様子を伺って、少しでも多くの情報を得るようにしています。

パソコンに搭載のカメラ、あるいはWebカメラを見つめるわけではなく、画面を見ているわけですから、相手には目を合わせているという印象は与えません。(Part 04)で説明したように、カメラの位置を目線よりも少し高い位置に置いておけば、印象が悪くなることなく、相手の様子を伺うことができます。



・外からの音に注意。なるべくマイクに拾われないように


リモートワークで行うオンライン会議でやっかいなのは、マイクが周辺の音を拾ってしまい相手に伝わってしまうことです。自宅からオンラインで参加する時、窓の外を通る自動車の騒音や、急に始まった道路工事の爆音が会議の参加者に伝わってしまい、気まずい思いをすることがあります。

特に集中したいオンライン取材やインタビューでは、この騒音はなるべく避けたいところです。

家で騒音シャットアウトは難しい。


残念ながら完全に騒音を遮断することはできませんが、パソコンに搭載されているマイクよりも、ピンマイクやイヤホンマイク、ヘッドセットマイクを使用すれば、音を拾う際にマイクの指向性が発揮されるので、ある程度は雑音を軽減させることができます。

また自分が座る方向や角度によっても音の拾い方が変わってきますので、道路沿いに部屋がある人は、何度か事前にテストをしておくことをお勧めします。



・オンラインは疲れる。時間を区切ってリフレッシュを



オンラインでの取材やインタビューは、対面よりも疲れます。

移動が不要で、たいていの場合は自宅でできるので楽だと思われがちですが、パソコンにずっと向かいっぱなしで、画面を注視し続けるわけですから、疲れるのは当たり前です。

ライター仕事はパソコンに向かってじっと考え込み、夜中までカタカタと作業するので慣れてはいるはずですが、自身の経験から言えば対面よりもオンラインの取材は倍くらい疲れます。気疲れでしょうか。

自分よりも、相手の方がきっと疲れている。


そう考えると、パソコンの前にずっと座って仕事をしていない人にとっては、オンライン取材はかなり辛い時間ではないでしょうか。オンラインで話し慣れていない人は、緊張もあって気づいていないかもしれませんが、かなり気を張っている状態だと思います。

ある程度の時間が経過したら、ひと息入れて水分補給などのタイミングを作り、お互いにリラックスしたいところです。ずっと喋り続けているよりも、よい話が出てくるかもしれません。

聞き手は流れを整理し、聞き漏らしはないかなどを確認する時間を取ることもできます。ひと休み入れて、悪いことはありません。上手くオンライン取材をコントロールしましょう。




ここまでいろいろ書き連ねてきましたが、ライターのみなさんがどういう手法で取材をしているのか、実はよく知りません。師匠について勉強したことはなく、編集者として何度かライターに同行しただけで、自身の取材手法はまったくの自己流です。それでも、クライアントから継続して声をかけてもらえて、編集者から案件を振ってもらえているのは、それなりに評価をもらえているのかなと感じています。

オンライン取材やインタビューの経験もまだ豊富ではありませんが、数を重ねて自分なりの形を確立させていきたいと思っています。これまで経験したことのない時代に、新しいことにチャレンジできるのが今から楽しみです。



【INDEX】

Part 01(準備編)パソコンのカメラはどこにある?
Part 02(準備編)パソコンのマイクはどこにある?
Part 03(準備編)オンライン会議のツールを試してみる。
Part 04(準備編)実は大切なカメラの位置と画角。
Part 05(実践編)オンライン会議の進め方。
Part 06(実践編)オンライン取材・インタビューの進め方。
Part 07(実践編)オンライン取材・インタビューの録音方法。
Part 08(実践編)オンライン取材・インタビューのテクニック。
Part 09(まとめ)これからはオンライン取材・会議が主流に?
Part 10(おまけ)オンライン飲み会